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「とりあえず、これからどうするかなんだけど」
アイスティーをストローでからからとかき混ぜながら、カオルが切り出した。
「どちらかの部屋に行くっていうのは、やめた方がいいと思うの」
「はい。私も、できればその方がいいと思います」
「でしょう?」
「はい。うちだと、狭いし、借金の督促が来るし……」
恥ずかしそうにハナコが付け加える。それを聞いて、カオルはハナコがなぜ自殺志願しているのか、おぼろげに分かってきた気がした。同時に、彼女が極度の金欠状態にあるであろうということも。
カオルは、さてどうしたものかと考える。彼女のテリトリーには行くべきではない。かといって自分の部屋に連れて行くのは危うく感じられる。だからやめた方がいいと言ったのだが、彼女について一つ知った今、尚のことその思いを強くしている。彼女のテリトリーに行っては自殺の計画どころではなくなるし、督促に来た人間に自分の姿を見咎められる可能性がある。自分の部屋に連れていって金目の物を盗まれたあげく逃げられるようなことがあっては、たまったものじゃない。
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