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インターネットの掲示板やレンタルサーバーでのウェブサイトでは無視されるか削除されるか、さもなければ不謹慎だと糾弾された。駅の伝言板では駅員に消されるか、他のまっとうな伝言によって消された。一人暮らし向けのアパートやワンルームマンションのポストに投げ入れるチラシでは、まあまあの反応を得たものの、チラシという形を残してしまうことに危うさを覚えた。様々な手口を試した結果、駅前の電柱に悪戯のようなポスターを貼って十二時間待つという、今の方法に落ち着いた。十二時間以内に両者が一人ずつ決まれば計画は実行され、決まらなければ他の駅前に移動する。これは、彼の心の隙間を埋める遊びだった。
募集人は宛先になっている自分の携帯電話を手のひらに乗せて見おろし、そして上着の胸ポケットにしまって歩きだした。あとは反応を待つだけだ。どんな人間が目をとめるだろう? 他人を殺したいと思うような物騒な人間は、たいがいの場合、普通人の外見を持っている。自殺したいと思いながら今日まで生きてきている人間は、たいがい幸せが目の前に踊っていても手を伸ばせなさそうな目つきをしている。
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