プロローグ

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親もいない。 家族もいない。 友もいない。 何も覚えていない。 彼は最初から“一人”だった。 ソレが普通だと思っていた。 人の記憶なんてものはどうせ大したことのないものだと。 薄っぺらく脆いものなのだと。 だからそんなものはいらないと思っていた。 ないものはいらない。 あるものを護る。 ソレが自分の使命だったから。 なのに、この温かさはなんだろう? この光はなんだろう? 見えるものとは違う、全然違う―― それは、見えないモノだ―― アイツと出会ってから アイツらと出会ってから たくさんの 数えきれない 見えないモノを 手に入れたような気がする 別に望んでなんかいなかった。 だけど拒みもしなかった。 ただ分からない。 自分の本当に欲しいものは一体なんなんだろう? この感覚―― なんだか知っている。 虚ろな夢の中で思考は永遠にループを続けていた。
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