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その頃、十河はというと…
十河「………」
道の真ん中に立っていた。
十河「…何で?」
少し考えると、神流の鏡の事などを思い出した。そして、一人頷いていると、突然何かが焦げたような臭いが漂って来た。その臭いのする方を見ると、黒い煙りが見えた。
十河「…!」
十河はそちらに走り出した。
意外にその場所は近かった。どうやら、村が何かに襲われたらしい。
?「キャーーーーーーー」
悲鳴が聞こえ、そちらに向かった。建物の陰から覗いて見ると、男達が道の真ん中に集まっている。
?「お願いです。命だけは。この子だけは」
よく見ると、男達の集まっている中心におばあさんと女の人がいるようだ。
多分、俺達と年はあまり変わらないと思う。それと、どうやらこの男達は盗賊のようだ。十河は気付かれないようにしながら、弓矢の用意をする。だが、用意している間に…
盗賊「うるせー、ババア!そこで死んでな」
男の剣がおばあさんに向かって振り下ろされた。
斬られた所から血が噴水のように飛び出し、そのまま倒れた。しばらくピクピクと動いていたが、やがて動かなくなった。
?「おばあちゃん!」
女の人が近づいて体を揺するが、動かない。
盗賊「さあ。俺達と楽しい所へ一緒に行こうぜぇ~」
盗賊「俺達のアジトだけどなぁ~」
ギャハハハハハハと、笑い声が聞こえてくる。女の人は顔面蒼白になっている。吐き気がする。
十河は怒りがこもった目つきで盗賊をみて、人数を確認しながら、弓を引き絞る。人数は、三十人前後。
これなら、行けると思い矢を放とうとした瞬間。
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