第二章

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光明寺「そうか。それはすまなかった」 光明寺は頭を下げた。 十河「…気にしてない」 十河は短くそう言うと、村をあちこち見て回った。 光明寺「…何をしているんだ?」 十河「…他に人はいないの?」 十河は女の人に聞いてみた。 ?「はい。私以外はみんな、殺されてしまいました」 十河「…………」 光明寺「…盗賊どもめ!」 光明寺は忌々しげに言った。 光明寺「…そういえば、助けてもらった礼がまだだったな。 え~っと……。 すまないが、名前を教えてくれないか?」 十河「…十河一夏」 光明寺「十河一夏か。いい名前だな。ありがとう。君のおかげで助かったよ」 光明寺はまた、頭を下げた。 十河「…別に、たいしたことはしてない」 十河はそれだけ言うと村人達の遺体を一カ所に集め出した。 そして、その作業が終わると近くの家の屋根に登り、弓に矢をつがえた。 十河「……………」 十河が風の力を矢に注ぐと緑色に輝きだした。 十河「…………!」 十河が矢を放つと、地面に大きな穴が開いた。 光明寺「…………」 ?「……………」 二人共何があったのかわからないといった様子だった。 そんな二人を放って置いて、十河は死体を穴に入れていった。 その後、土をかぶせていった。 二人はようやく十河が共同墓地を作っていたことに気づき、作業を手伝い始めた。 作業が終わる頃には、もう夕方だった。 十河「…君はこれからどうするの?」 十河は女の人に聞いてみた。 光明寺「この子は私が保護する。私は一応この国の兵士だからな」 十河「…そうなんだ」 光明寺「言っておくが、君も保護対象なんだよ」 光明寺が言うと十河は首を振った。 十河「…俺は人を捜さなきゃいけない」 光明寺「その捜している人も、もしかしたら会えるかもよ。今から行くのは、この国の首都。バルトだからね」 十河「…………」 十河は少し考え、一緒に行くことにした。 光明寺「わかったわ。じゃあ改めて自己紹介を。私の名前は光明寺はやて。現役兵士だ」 ?「私の名前は咲原優那です。よろしくお願いします」 十河「…十河一夏だ」 光明寺「じゃあ、とりあえず今日はここに泊まって明日行くことにしましょう」 もうすでに、夜のとばりがおりていた。 なので、出発は明日に持ち越しになった。 その頃、東郷はというと…… 東郷「…zzZ」 寝ていた。 しかも囚人輸送車の中で。
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