第二章

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あれから東郷は早間に兵士の所へ連れて行かれ、そのまま首都バルトに輸送されることになった。 早間「…この状況でよく寝られるものだ」 早間は呆れたように呟いた。そして輸送車がいきなり止まった。 早間「何事だ!」 早間が叫ぶと兵士が一人走ってきた。 兵士「報告します!魔物に囲まれています。その数二十」 兵士は少し震えた声で報告した。 早間「そうか。種類はわかるか?」 早間は落ち着いた風に言ったが、額には汗が流れていた。 兵士「そこまでは…」 東郷「熊型が十、犬型が三、後は人型だな」 兵士が言い終わる前に俺は言った。 早間「お前、いつの間に…。いや、それよりなぜわかる」 早間はこちらに向いて、寝た格好のままの俺を見た。俺は起き上がり早間を見た。すると、早間の顔色が変わった。 早間「お前…、その目は…」 驚いたのも無理はない。俺の左目の色が黒から朱に変わっていたのだから。 東郷「そんなことはどうでもいい。それより、俺があいつ等を倒してやるよ」 早間「そんなことはしなくていい。この位の数なら、私達だけで充分だ」 早間は俺の申し出をきっぱり断った。 東郷「兵士は何人いるんだ?」 早間「五十人だ」 東郷「魔物との戦闘経験のある奴は?」 早間「二十人だ」 東郷「お前は経験はあるのか?」 早間「ある」 東郷「犬型を知っている者がいるか?」 これが、一番重要なことだ。訓練や実戦をしていても、こいつに関しては知っていなければ戦え無い。 早間「いや。恐らくいないだろう。犬型というのは初めてだからな」 この答えに俺は思わず笑ってしまった。
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