恐怖や悲しみの果て

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薄暗く、あつい雲が空にある。 周りには何も建物がなく、きれいな花が 迎えてくれる様子もない。 ただ殺風景な景色が広がっている。 そんな風景に見るからに古くさい馬車が 砂利を踏む音だけが聞こえてくる。 その馬車の中には3人の少年少女の声が 響き渡っていた。 「今日の任務場所は北部だとよ。 寒いなぁ・・・。」 頭のてっぺんにぴょんと立っている銀色の髪の毛を揺らしながらやる気の無さそうに言ってのける少年の名はウォル・マノーラ。 自分でも気にしている癖毛はきれいな銀色に輝く。 身長はそこそこ高い方であるがすごく高いわけでもない。 ごく平均的な高さである。 彼の真紅の左目とエメラルドグリーンの右目には殺風景な風景が映っていた。 彼の目にこの風景がどのように映っているかは誰も知らない。 しかし、この馬車内にいる人達はわかっていた。 きっと彼の目に映る風景は決して良いものではないだろう。
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