第四十四話

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その生徒ーー高橋一馬はこの学校きっての問題児である。 今、その一馬を受け持っている勝也の何よりの悩みの種だ。 成績と授業態度の悪さは限りなくワースト1だと言える。 他に頭の悪い生徒ならたくさんいるが、彼らには部活があった。だが一馬は部活ですら帰宅部。そう、なにも入ってない。運動神経だけはいいらしいので部活動を強く進めるが「めんどくせぇ」の一言で彼は却下する。 ほんとに困った生徒であった。しかしこの一馬根は真人間。ちょっと態度が悪くても、強きに立ち向かうことも出来て、弱きものには手を差しのべることが出来るのだ。 そして困った人がいれば全力で助けるという面倒見の良さがあった。友達も多い。いいやつなんだけど、ほんとにいいやつなんだけど…… 「はぁああ……」 勝也は一人待つ教壇の上で深々と溜め息をつく。 「どうしたのー?竜ちゃん」 「星中!!どうしてここに?!お前の補習は三年二組だろ?」 星中春紫苑。現在の三年二組在籍で二年の頃の勝也の生徒。彼女もかなりの問題児だったが今では大分落ち着いた。 「終わったの。もう昼だよ?」 「……なに?!」 春紫苑は呆れた目を勝也に向けながら言ってきた。
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