78人が本棚に入れています
本棚に追加
ごうごうと燃える大文字を描いた炎を描きながら、舞う女性を男は見つめていた。
男の名前は、ダンゾウ。女の名前は、イルミナ。
ーー二人は、祭りをこよなく愛する自由人だった。
祭りがあるとこへはどこにでも駆けていく。
そうやって二人で生きていく。
大きなうちわを背中に背負ったハッピ姿、白いタオルをぐるぐると頭に巻き付けたダンゾウが大きな瞳で舞い続けるイルミナを見つめていた。
「……相変わらず、美しい舞いだな」
「よう、ハヅキか」
ダンゾウの隣に降りてきたピンク色の腰まである髪を伸ばした女性に彼は返す。
「相変わらず、無駄に元気だな。ダンゾウ」
「相変わらずって可笑しいじゃねぇか。いつも一緒にいるのによ」
ハヅキが言ったことにダンゾウは豪快に笑いながらそう答えた。
「そうね……うるさいわ」
後ろに居たのは黒い髪を肩まで伸ばした黒い瞳の少女がクールに言った。
「聖華、そういう言葉はあまり使うものではありません」
聖華と呼ばれた女の子の耳にしているピアスから丁寧で品のある女性の声が聞こえてきた。
「……ごめんなさい、鬼羅」
聖華はその声にすぐ返す。
最初のコメントを投稿しよう!