65人が本棚に入れています
本棚に追加
「……一体、なんなの……」
「……逃げたかぁ……」
心臓に突き刺したと思いきや海の力で分身を作って後ろへ逃げていた理央に残念そうに彼女はぼやく。
「まぁいいや。どうせルマはあたしのモノになるんだし」
「……ルマはモノじゃない!!!」
理央は彼女の声に真っ向から反発してみせる。先ほどからこの女はみんなを『モノ』『モノ』として指し示す。
それが理央にとって憤りそのものだった。
「『モノ』だよ。あたしの、ねっ?ルマ」
「……」
ルマは彼女の声には答えなかった。
いや、答えたくなかったというのが本音かもしれない。
「あんたにいいこと教えてあげる。
『友達』は『モノ』っては言わないの。
『友達』は『モノ』じゃないの!!!!
誰の『モノ』でもないの!!!!!!」
「……う、る、さいッツ!!!!!!!!」
ーー理央の怒りのこもった言葉を否定するかのように彼女は一喝した。
「ルマもレマもお父さんもお母さんもーーエースだってあたしが助けてあげるんだから!
あんたなんかに絶対に渡さないんだもん!!!!!」
泣きそうな、けど強い憎しみを込めた表情で彼女は喚き散らす。
これはなにもかも欲しいと願う強欲なのか、それとも羨ましいという嫉妬なのかーーはたまた両方なのか……
とにかく理央に理解出来たことは彼女が自分自身の何かの感情の分身だろうということだった。
最初のコメントを投稿しよう!