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「……え」
暫く歩いていると爽吾は向かいから何かがこちらに向かってきていることが分かった。
近づいてくる足音を確認するために爽吾は一度立ち止まる。
「あれ……爽吾?」
そこで爽吾がトルデが見たものは正直信じられない人物だった。
「あおい……?!」
いつもの冷静な自分はもうどこにもいない。ただかつての大切な少女の名前を爽吾は唖然としながらもハッキリと口にしていた。
「こんなところでなにやってるの?」
葵と呼ばれたその少女はニッコリと微笑みながら爽吾に問いかける。
それはだが全く持って爽吾の言葉だ。
「葵こそ……どうしてここにいるのさ?
君はもうーー」
「生き返ったの!そう言ったら信じてくれる?」
彼女は爽吾が14の時に病気で死んだはず。ここにいること自体があり得ないものだったのだ。それなのに更なるあり得ない言葉をその少女は爽吾にぶつけてきた。
「私、ずーっと爽吾に会いたかったんだよ!!!!
また会えて嬉しい……」
葵は爽吾が有無言う前に思い切り彼に抱きついた。
その人懐っこい表情も、温かい体温も、そして姿形すべてが爽吾の知る『向日葵』だった。
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