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爽吾は驚愕から目を見開く。そしてその爆発を起こしたであろう人物に目を移した。
ーーそしてその人物にまたも爽吾は驚愕する。
「もう少し使えると思ったんですけどねぇ……ダメでしたか」
それは紛れもない自分自身の顔をした誰かだったからだ。
「あれれ?そんなに驚いてくれちゃうなんて嬉しい限りですね」
自分の好きだった人の形をしたものを一瞬で壊したというのに彼はニコニコ笑っている。
それが不気味であると同時に爽吾は強い憤りを覚えた。
「……君はなんなの?」
込み上げてくる感情を圧し殺して、爽吾はゆっくりと問いかける。
「僕は佐上 爽吾。君と同じですよーー
けど君と違って酷く人生というものに落胆しているかなーー
強いて言うなら生まれてきたことを恨んですらいる……」
「……怨恨……その感情とでも言うのか?」
「君がそう言うならそうなのかもしれませんね。トルデ」
今度はトルデの一言にニッコリと怨恨の爽吾はそう返した。
「……君が僕ならーー
少なくとも葵の形をしたあの子は殺せないはずだ」
爽吾にとって相手が自分の感情であることなんてどうでも良い。それよりも目の前で葵の形をしたあの子をなんのためらいもなく爆破した目の前の男が許せない。
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