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「……そう、その表情だよーー今こそ……」
ザクッツ
羽の刃で自分自身の顔をした女の喉を紫姫はひとつきにした。
「……ア、ハハ……それで……それでいい……!!!それで……」
「貴様にもう用はない。アタシにはやらなきゃいけないことが出来た」
「紫姫……?」
ヒュドラの声も届かないほどに紫姫の顔は狂気そのものに染まっていた。
そして黒から色を取り戻した世界に移ったときーー紫姫の目の前には幸か不幸かあの男が映った。
酷く傷付いて倒れているその男。
だが紫姫にとってその男がどれだけ傷付いていようが関係などない。
ただーー
「紅蓮、覚悟ーー!!!!!!」
ーー復讐を果たすだけなのだからーー
紫姫はいくつもの羽の刃を横たわる紅蓮に容赦なく飛ばす。
ーーカァン……!!!
「?!!」
「……誰だ?“異端(ひと)”の眠りを妨げんのはーー」
その男、紅蓮は傷付いた身体などものともせずに紫姫の刃を大鎌で全て弾き返し、しかも嬉しそうに笑っていた。
紅蓮もまるでこの時を待っていたかのように、わかっていたかのように、表情には狂気を浮かべていた。
「おい、下僕A。復活したか?」
短い問いは今まで眠っていたハデスに向けられる。
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