65人が本棚に入れています
本棚に追加
季節は12月ーー
少しずつ冬の寒さが伝わり出したその頃だった……
「……エース……どうして……」
四人で笑って写った大切な写真を大事そうに胸で抱えてクイーンは部屋で一人、辛そうにうつ向いていた。
「仕方ないよ。あいつが決めた道だ」
正確には一人ではない。水雹がぶっきらぼうに一言、落ち込むクイーンにただ返す。
「……それでも……納得なんていかないよ!!
たった一人で何もかも決めちゃうなんて!!!!」
その写真を強く強く握りしめながらクイーンが悲痛に叫ぶ。
今度は水雹は返さなかった。
キーンコーンカーンコーン……
いつものように終業のチャイムが鳴って1日の授業の過程の終わりを告げる音が響いた。
一馬は神妙な面持ちで立ち上がる。
「高橋、今日は……」
野球部キャプテンである隆司が一馬に話しかけてきたので彼は直ぐにそちらに振り返って首を振った。
「ワリィ、俺……今日はどうしても行かなきゃいけねぇとこあるんだ」
「……そっか、じゃあまた明日な」
少しだけ残念そうに、だけどさっぱりとした口調で彼はあっさりと一馬に別れを告げる。
最初のコメントを投稿しよう!