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根拠はないけどーー分かってしまったのだ。
そういう感情が自分の中にあるのは知っていた。
いつか向き合わなければいけない日が来るのも理央には分かっていた。
その時が今ならやるしかない。
理央は彼女に向かって弓矢を構えた。
「あたしだってあんたなんかに絶対ルマもエースもみんなもやらないんだからッツ!!!!」
「黙れーーーーー!!!!!!!」
二つの海の力が宿った弓が同時にぶつかり合う。理央の強い意思の言葉に逆ギレしたもう一人の理央は雄叫びでもあげるかのように叫んだ。
「黙るのはアンタの方よ!!!!!」
中心で爆発を起こした弓矢同士。
ーー力だって全く同じなんだーー理央は理解する。
(でも……違うわ。
このーー想いだけはーー)
(うん!!!!)
理央とルマには確信がある。
他のなにが似ていても絶対にもう一人の理央にはないものを今の理央が持っていることを。
「!!!」
もう一人の理央は爆風の荒れ狂うなか、勘だけを頼りに適当に弓矢を打ちまくる。
そんなのにもちろん理央は当たってあげる気などない。
彼女は爆風のなか、走り続けていた。目の前のもう一人の理央の立つ場所にーー感じる力の波動を頼りに。
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