第五十五話

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「芸のない攻撃だ……」 京はそれを打ち返すべく、真っ向から立ち向かう。 二人の薙刀が重なった。 「俺は誰も信じない……ヒトは裏切るんだ……」 「……なに?」 ーー動揺を誘う為の作戦かーー? 京はそう感じたがそれが違うことに直ぐに気づく。 目の前の男の表情が苦痛と恐怖でいっぱいに見えたからだーー それを感じ取った自分の手元が一瞬、緩んだ。 その隙を男の薙刀がとらえる。身を守った銀色の片翼にグサリと薙刀は突き刺さった。 「……これはーー」 「……なにか分かるのか?」 刺された片翼に痛みは感じない。痛手ではあるだろうが痛覚が分からない分、どれくらいのダメージか計算しにくい。 何かを言おうとしてきたミカエルに直ぐに京は問いかけた。 「……いや……凄まじい“負”の感情ーーそのものだ…… そう、思っただけだ」 ミカエルの言葉に男はキッと強い瞳を京に向ける。それは全てを信じていない寂しい目だった。 そして、京にはミカエルの言葉の意味が分かってしまった。
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