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「芸のない攻撃だ……」
京はそれを打ち返すべく、真っ向から立ち向かう。
二人の薙刀が重なった。
「俺は誰も信じない……ヒトは裏切るんだ……」
「……なに?」
ーー動揺を誘う為の作戦かーー?
京はそう感じたがそれが違うことに直ぐに気づく。
目の前の男の表情が苦痛と恐怖でいっぱいに見えたからだーー
それを感じ取った自分の手元が一瞬、緩んだ。
その隙を男の薙刀がとらえる。身を守った銀色の片翼にグサリと薙刀は突き刺さった。
「……これはーー」
「……なにか分かるのか?」
刺された片翼に痛みは感じない。痛手ではあるだろうが痛覚が分からない分、どれくらいのダメージか計算しにくい。
何かを言おうとしてきたミカエルに直ぐに京は問いかけた。
「……いや……凄まじい“負”の感情ーーそのものだ……
そう、思っただけだ」
ミカエルの言葉に男はキッと強い瞳を京に向ける。それは全てを信じていない寂しい目だった。
そして、京にはミカエルの言葉の意味が分かってしまった。
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