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そうーーあれは自分自身の感情そのものーー
それと今自分は戦わされているのだ。
だとしたら目の前の男はきっとーー
かつてマスターにしかすがれずに何も出来ずただ臆病な自分を守るために人を殺してきた自分自身なのではないだろうか……
多分、そうーー
いや、絶対にそうだ。
『そうだ』としか言い切れない。
「そろそろーーいい加減に消えろーー!!!!!」
怯えて、遠ざけ、拒絶した世界にいた自分ーー
その言葉だって幾度となく吐いた。
京はそれを間違いなく覚えている。
過去の自分は嫌いだけど忘れたことなどなかった。
忘れられる訳もなかった。
あの壮絶な日々ーー
犯した罪の重大さーー
それを思えば自分はここでこの分身と死に絶えてでも罪を償わなければいけないのではないかと感じる。
ーーでも京の身体も命もソレに答えてはくれない。
「俺は死ねないんだよ……」
「!!!!!」
京の強い一言ーーそして目にも止まらない一閃に今度驚いたのは男の方だった。
男の身体を守っていた銀色の片翼は一瞬にして葬り去られる。
男は完全に怯んで動きが止まっていた。
だけど、京は歩みを止めるつもりはない。
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