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「……来るな、来るな、来るなぁああああああああ!!!!!!」
男がただ乱雑に振り回す薙刀を京は素手一つで防いだのだった。
薙刀はただ一ミリも動かない。男は恐怖から一歩もそこから動けないでいた。そして怯えるだけの男に京は一言。
「すがるだけでは何も出来ないんだよーー」
その言葉に絶望したかのように男は顔を歪める。そして京は薙刀で彼を守る銀翼ごと止めをさした。
「……な……ん、でだ……?!
俺は信じたりしなかった……
お前とは違う……誰も信じず一人で生きてきた……
そうすれば“強い”ーーそう言われたのに……!!!!」
消え行く身体を前に絞り出すように自分と同じ姿の男は言う。
「確かに“一人で戦い続ける”強さもあるのかもしれないーー
けど俺は少なくともみんなに助けられなければここまで本当に強くなることなんて出来なかったーー
そう自信を持って言える。
信じることは勇気を出すことーー
お前に足らなかったのは一歩を踏み出すその力だったのかもしれないな」
京がそれを言い終わる前に男の身体は消滅していた。
「……京……」
複雑な心境だーーかつての自分を殺すというのはーー何とも言えない気持ちに京はなっていた。
だけど今の自分はこんなところで立ち止まっている訳にはいかない。
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