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「……んじゃ、行くか」
一馬はみんなを代表したように前に出てドアを開く。
そこは今は失踪していないエースもかつて住んでいた家。
ドアを開くと綺麗に掃除された玄関と廊下が見える。
すっかり人気のないような静かな家の中だった。
誰も一馬たちを出迎えてくれるものはいない。
まるで彼らを避けているみたいに誰も出て来なかった。
「入ろ。ここで止まってても何も分からないままだよ」
春紫苑が止まっている一馬に強い口調で声を掛けた。
一馬はゆっくりと頷く。
最終的に玄関から廊下を通って二番目の部屋のドアの前で一馬たちは立ち止まる。
一馬はドアノブに手を掛けたあと、いったん仲間の顔を確認するように後ろへ振り返った。
仲間たちはしっかりと頷き返す。
一馬はドアへ向き直るとそのまま勢い良く開いた。
「また来たの」
その冷たく突き放したような声の主が一馬たちの方すら見なかったのは言うまでもない。
ただ呆れたように一馬たちに背を向けて吐き捨てるだけだった。
「何度だって来てやるよ……
だって、納得するわけねぇだろ……勝手にいなくなっちまうなんて……!!
俺たちはちゃんとした真実が知りてぇんだ!!!!」
「そうだ、地和さん……俺たちだってエースの仲間なんだよ!!!」
一馬の声に重ねるようにして翔もまた言い放つ。
地和は相変わらず答えるどころか無視を貫き通していた。
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