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君を初めて見たのは、1年前の4月25日13時頃の快晴の日だった。
昼飯を食べる為一人で会社から出ると道路を挟んで向こう側に笑っている君を見つけた。
時間が止まった。
風が俺の頬をくすぐって、
我に変える。
きっと之が世間で言う、一目惚れって奴だったんだろう。
『妄想恋愛小説。』
「おっ疲れ様ぁ~!!」
一服を終えてオフィスに戻ると新卒の部下、中村が俺にいきなり頼み事。
「先~輩!!取引先の会社が明日までに資料を必要って言ってるんすけどぉー」
「OK、OK!!俺資料作っとくからさー」
そう、今日の俺は果てしなく機嫌が良い。
「せっ…先輩…??」
その様子に驚いている、中村。
「あのぉ…先輩??」次は入社3年目の井上が尋ねている。
「んっ…何だよ??」
「いや、何か先輩いつもと違うくないっすか…??」
「そーっすよ。」すかさず突っ込むのは入社3年目の田村だ。
「あっ!!先輩もしかして、今日デートっすかあ??」中村はニヤニヤしながら俺に聞く。
「おい!!中村、資料作ってやんねーよ。」
「すっすんません。」
こいつらが大体俺の部署で働く奴らだ。
そして俺は入社10年目の32歳、独身だ。
20代の頃は女の子が大好きで、きっと50人以上とは付き合ってきたが、30になって体力的にも限界を向かえ彼女いない歴2年だ。
しかし、今日スタバから出て来た君を好きになってしまったようで。
初めての一目惚れだ。
50人と付き合ったと言ったが、1人でさえ本気になった子がいないと言えばいない。勿論俺からの告白もしたことがない。
だから、本当に今日の事は自分自身の事ながら驚いている。
そんな事を考えながら就業時間を向かえ俺の部下達は「手伝いさせて下さい」と資料の事を言っていたが、今日の俺は機嫌が良いので可愛い部下に残業させることも無く帰してあげた。
そう、もう俺は昼過ぎに会った君の事ばかりを考えていたし。それだけで幸せだったからだ。
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