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「さて。最後にもう一度、説明をしますね」 目の前に一本の線路がある 見通しの良いその線路は途中で二股に分かれ、どちらも私の知らない土地へと向かっている 否、線路の向かう先は知っている どちらも、復讐と絶望に向かっているのだ 「ボタンの所にも書いてありますけれど、やはり人の命を扱うのは、いくら憎い人が相手だとしても、重責ですから、訳が解らなくなってしまうといけませんからね」 明るく喋る背広の男には、驚くほど特徴と言うものがない 「こちら、右のボタンを押すとトロッコは右の線路を走ります。左のボタンを押したら左。解りやすいですね」 ボタンを確認して、再度線路を眺める 左の線路には障害物は何も無く、右の線路には障害物が置かれている 目隠しをされた男だ 私の人生のレールは、この男によって滅茶苦茶にされた 滅茶苦茶?生ぬるい 私はこの男と言う障害物にぶち当たり、線路はおろか脱線してトロッコまでぐちゃぐちゃに壊されたようなものだ 「皆さん心配されますが、ここでの出来事が他所に漏れる心配は全くありません。仮にもし貴女が事が終わった後に、罪の意識に苛(サイナ)まれて警察に行って自白したとしても、殺人で捕まる事はあり得ません。ここは、そういう場所なのです」
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