【観察1日目】

2/9
194人が本棚に入れています
本棚に追加
/34ページ
朝日を背にして現れるのはどうにも良くないと思い、昼頃病室を訪れる事にした。 昴は上半身をベッドの上に起こして、気が進まない様子で病院食を口に運んでいる。 「食欲がありませんか?」 窓辺から声を掛けると、昴は弾かれたようにぱっと顔を上げた。 「良かった、夢じゃなかったんだ」 私の質問を無視した彼は安心したように目尻を下げる。 普通、逆ではないか。 夢で良かったと思うものではないのか? 「死神に憑かれて、良かったなんて言う人は貴方が初めてですよ」 「そう?僕は死神さんが来てくれて嬉しいけどなぁ 」
/34ページ

最初のコメントを投稿しよう!