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「伊野ちゃんを花に例えるなら、ユリだよね。」
急に大ちゃんが真顔でいうから、俺はビックリした。
「はい?そんな俺が白いって?笑」
「ちがくって!まぁ、ユリくらい白いけどさ…―」
『ユリの花言葉は純潔、「あなたを騙すことが出来ない」ってくらい。伊野ちゃんにぴったりじゃん。』
…――俺に純潔だなんて、皮肉にしか聞こえない。
「けーいちゃん!もふっ」
「…………。」
「ねぇ、慧ちゃん。なんかあった?」
俺の異変に真っ先に気付いてくれる知念。
いつでも可愛い笑顔、でも知念は俺よりずっとずっと大人だ。
「俺は、純潔?」
最初は質問の意味がわからないのか、少し驚いた顔をしたけれど、少しずつ、いつもの笑顔にもどって答えた。
「慧ちゃんは、純潔なんかじゃないよ。」
やっぱり。
俺は、汚れてるんだ、純潔なんて言葉はやっぱり大ちゃんの皮肉だったんだ。
「でもね…―」
「純潔な人間なんて、この世にいないんだよ。人間なんてみんな汚れてるんだよ。」
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