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「こうた、全然変わってないねー」
とりあえず、ひかるを家にあげる。
「たった3年だしね。ひかるは大分変わったよね、主に髪の毛が。」
台所で、昔からひかるが大好きなココアを用意しながら受け答える。
「ははっ、それ気にしすぎだろ!ちょっといろいろあってね。でも似合うだろ?」
にかっと八重歯をみせて笑う姿はどこか子どもっぽかった。
(……そこはホントに変わらないね。もう20歳になるのに…)
「……ん?」
ホットミルクをカップに注いでいるときにふと気づいた。
「どしたの?」
「ひかるって20歳になったの?」
「うん、そうだけど。」
不思議そうな顔をしているひかる。
俺の手元にあるカップにはココアが完成されていた。
「………ごめん、昔と同じ調子でココアつくっちゃった。」
20歳になったひかるにココアを出すのはかなりの違和感を感じる。
「……ふふ、大丈夫。今でもココア大好きだから」
フワリと笑うひかる。昔はそんな優しく笑わなかったのに。
「普通に昔と一緒の調子で砂糖もミルクも大量に……」
「大丈夫大丈夫。こうたの愛が詰まってればそれで。」
やはり、ひかるは大人びていた。
最後にみたのが高校生の頃だからそりゃ大人になっていると感じるのは当たり前だが、外見というよりは中身や表情、仕草が大人になっていた。
外見とは間逆に紳士的で、優しい瞳だったのだ。
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