騎士

13/13
69人が本棚に入れています
本棚に追加
/152ページ
『大丈夫ですよ。私はここにいます』 『うん……うん………』  ミリアはウィルになだめられて徐々に落ち着きを取り戻す。  しかし背中に回された腕の力は抜けることなくそれどろかより一層強くなる。  それだけウィルがいなくなるという夢はミリアにとって悪夢以外の何物でもなかったのだろう。  思えばミリアが11歳のとき近衛騎士になり、そのときからミリアの側にいた気がする。  ミリアにとってウィルは兄であり騎士なのであろう。  そう考えるとウィルは少し寂しい気がした。  否、そうでなくとも姫と騎士とでは身分が違いすぎるのだが………  まぁ王の方がミリアにも気があるらしいからウィルならば婿に迎えても問題ない、むしろ歓迎すると言っているところを見ると身分にはあまり重視していないようではある。  問題はミリアの気持ちだ。  ウィルの方は恋愛感情を持っていることは間違いないがミリアのほうはもしかしたら兄としての感情が大きいのかもしれない。  ウィルはそんなことを考えながらミリアを包み込むように抱きしめてミリアが泣き止むのを待つことしか出来なかった。    
/152ページ

最初のコメントを投稿しよう!