婚約

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 それでも互いに知っているのはウィルが英雄的な存在だからであり、ジーンのほうはウィルが一方的に知っているというだけのことだ。  ウィルは記憶力が凄まじく、特に人の名前などは瞬時にして覚えてしまうほどの記憶力だ。 『実は隣国のことで………』  そうジーンが切り出したとき、ウィルは少し警戒した。  もし、調査の話であるならば対処をどうするか考えなければならない。  それほど、この任務は重要なのだ。下手をすれば命に関わるし国の沽券にも関わる問題になってしまう。 『隣国の王子が明日にでもわが国に参られるそうです』 『何?』  ウィルの雰囲気を察してか否か、ジーンは極めて難しい顔でそう言った。  だいたい他の国への訪問のときは一ヶ月くらい前に言うものである。  それを急に伝えるなど………  
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