平安幻夜録~魂、満ちる刻~

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「蘭……」 「……セーサイ?」 思わず蘭の身体を抱き締めずにはいられなかった。 華奢な身体は少し力を込めれば今にも折れてしまいそうだ。 「セーサイ、こっち向いて?」 「ん?どうした……?」 腕の中の蘭を見下ろす。 その瞬間、蘭がそっと背伸びをして私の頬をぺろりと舐めとった。 「大好きなセーサイが泣くの、オレ、悲しい。だから、笑ってよ」 驚いて目を見張っていると、蘭がそう言って私を見上げて微笑んだ。 その愛しい笑顔を見た瞬間、私は決意した。 「蘭……私を喰うと約束してくれないか?そうすればもう、泣くのはよそう」 「ぇ……?」 蘭の目が真ん丸くなる。 「私を喰らえば、蘭の身体は良くなる。力もまた甦るだろう。それが……私の望みなんだ」 陰陽師である私は普通の人間よりもずっと力を持っている。 私の魂を喰えば力が漲り、蘭は永く生き長らえることが出来るだろう。image=450198206.jpg
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