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「星彩様っ、星彩様ぁっ!大変でございますっ!」
──ドンドンドンドン!
激しく扉を叩く音と我が名を呼ぶ声によって、私の意識は一気に覚醒した。
目を開けると、障子の向こうから眩しい光が差し込んでいるのが見える。
仕事柄、昼間は私の活動時間帯ではない。
日が暮れるまで私が眠りについていることは皆知っているだろうに、なぜか無遠慮に叩き起こされてしまったらしい。
すぐさま布団から出て屋敷の戸を開けると、大慌てしている都の住民たちがずらっと並んでいた。
「鬼の子が出たのですっ!」
「どうぞ退治して下さいませ!」
口々に叫ぶ住民たちをなだめてよくよく話を聞いてみると、なんでもたった今、都の外れの竹林で鬼の子を見かけた者がいるらしい。
「……わかった。私が退治しにゆこう」
私がそう答えると、民たちは大層安心した様子で去っていった。
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