平安幻夜録~魂、満ちる刻~

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「セーサイ」 こんな風に名前を呼ぶコトも、あと何回ぐらい出来るかな? その時が来るまでに、たくさん名前を呼んでおこう。 とにかくオレには時間がない。 死ぬ前に、大好きなセーサイに伝えたいコトがあった。 「オレ、セーサイが好きだよ。一緒にいたらドキドキして……胸がきゅーってなって、身体があったかくなるんだ。でも……もうすぐセーサイに触れられなくなる。だから、セーサイにたくさん触れたい。ぎゅってされるだけじゃなくて、もっとたくさん……」 この気持ちが何なのか、オレ自身にもよくわからないけど。 セーサイはものすごくビックリした顔をしたかと思ったら、急に真っ赤になった。 セーサイ、なんでいきなり赤くなっちゃったんだろう。 枕元に座ってるセーサイのほっぺたに手を伸ばしたら、すごく熱くなってた。 さっきまで身体の感覚がなくなってたのに、今はちゃんと温もりがわかる。 ……なんでだろう? 不思議。 「蘭……愛している」 セーサイがふわっと優しく微笑んで、オレと唇を合わせてきた。 “アイシテイル”の言葉の意味はオレにはわからなかったけど、セーサイとオレの気持ちは同じなんだろうって何となくわかった。
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