370人が本棚に入れています
本棚に追加
「セーサイ」
こんな風に名前を呼ぶコトも、あと何回ぐらい出来るかな?
その時が来るまでに、たくさん名前を呼んでおこう。
とにかくオレには時間がない。
死ぬ前に、大好きなセーサイに伝えたいコトがあった。
「オレ、セーサイが好きだよ。一緒にいたらドキドキして……胸がきゅーってなって、身体があったかくなるんだ。でも……もうすぐセーサイに触れられなくなる。だから、セーサイにたくさん触れたい。ぎゅってされるだけじゃなくて、もっとたくさん……」
この気持ちが何なのか、オレ自身にもよくわからないけど。
セーサイはものすごくビックリした顔をしたかと思ったら、急に真っ赤になった。
セーサイ、なんでいきなり赤くなっちゃったんだろう。
枕元に座ってるセーサイのほっぺたに手を伸ばしたら、すごく熱くなってた。
さっきまで身体の感覚がなくなってたのに、今はちゃんと温もりがわかる。
……なんでだろう?
不思議。
「蘭……愛している」
セーサイがふわっと優しく微笑んで、オレと唇を合わせてきた。
“アイシテイル”の言葉の意味はオレにはわからなかったけど、セーサイとオレの気持ちは同じなんだろうって何となくわかった。
最初のコメントを投稿しよう!