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「セーサイっ!今日オレ、オキツネ様の所に行ってきたんだ!」
明るく私を呼ぶ澄んだ声。
──私の愛しい蘭の声だ。
死の淵に瀕していた蘭だったが、私が蘭を抱いたあの日から、見違えるようにめきめきと元気を取り戻し始めた。
今ではすっかり元通りになり、昼夜を問わず元気に駆け回っている。
ただ、昔と変わってしまった点がいくつかある。
それは……蘭の容貌だ。
まるで色素のなかった純白の髪は藍色に、紅かった目は空色へと変容した。
尖った耳は丸みを帯び、確かにあった角はすっかり姿を消した。
そう──、
蘭は人間になったのだ。
私はあの晩、蘭のためならば死んでもいいと思った。
出来ることなら、オキツネ様が宣ったように私の魂を蘭に分け与えやれたらいいのにと心底願った。
私の下で可愛く啼く蘭を、どうしても離したくなかった。
守りたかったのだ、命に代えても。
どういう訳か……
その想いが、届いた。
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