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修行を義務付けていない
水の国では、毎日のように
人々が命を落としていた。
訓練所を作るお金も無く
モンスターを倒すハンターを
雇う事すら出来なかった。
そんなある日。
モンスターの言葉が分かる
老婆の占い師が
「年に一度、子供か未婚の娘を
差し出せばその年は人を
襲わないと言っております。」
と王様に伝えた。
年々減っていく人口に
頭を悩ませていた王様は
二つ返事でその条件を
飲んでしまった。
城の兵隊が生け贄に
なってくれる人を探すため
1日中歩いたが、自らモンスターに
命を差し出す事を望む人は
当然見つからず途方に
暮れていた。
そして三日後。
追い討ちをかけるように人が
モンスターに襲われたのを
きっかけに王様は生け贄の
家族には賞金を与えると
札を出した。
その数分後。
若い夫婦が小さな
女の子を連れて城に
やってきた。
女の子は怯えた表情で辺りを
キョロキョロと見渡し、安心を求め
母親の腕を掴もうとする。
しかし母親はその手を
拒むようにピシャリと
叩き落としてしまった。
悲しそうな顔をする
女の子を無視して母親が
王様に頭を下げた。
「今日は札を見て参りました。
生け贄にぜひ私の娘を
お使いください。」
母親の非道な言葉に辺りは
ザワザワとざわめきだす。
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