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「おっはよ、疾風っ!」
元気そうに、本当に元気そうに、私に挨拶してきた。
私の大好きな友達。
「……うん、おはよ、鏡歌」
彼女の名前は、初宮鏡歌(ういのみや・きょうか)。
私の幼稚園からの幼馴染みで、一番の友達だ。
鏡歌は私なんかと違って、いつも明るく元気だ。
だれにでも振り撒く、その可愛らしい綺麗な笑顔で、私の「しふう」という変わった名前を、嬉しそうに呼んでくれるんだ。
でも、そんな大好きな友達に、暗く返事をしてしまった。
それでも鏡歌は、明るい声で私に話しかけてくる。
「どうしたの、疾風? なんだか、元気ないね」
私を心配してくれている。
俯かせていた顔を、鏡歌のいる方に向ける。
あごで切り揃えた、キラキラとした暗めの茶髪に、大きな深い青色の瞳。
それが鏡歌という少女で、端から見ても、元気系の女の子だってのは、誰だってわかる。
私はよく、暗いね、と言われる。
単純に人と話すのが苦手なだけで、それで少し暗めに話してしまうのが、私のいけないところだ。
鏡歌みたいに、誰とでも明るく話せたらいいな。
私は、数えるぐらいしか、普通に話せる人がいないから、羨ましいな。
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