9章 傭兵大国

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(────ィィンッ) 「あらあら~、大きい剣の割には大した威力じゃないわね♪」 メイは隠していた短剣一つでラゴスの一撃を受けきった。 正確には流し受けだ。 相手の攻撃をいなしたまま、ゆっくりと攻撃力を相殺する。 合気にも似た技術をメイは習得している。 「なっ!!てめっ!!」 気配も見せず割って入ったメイの姿に、ラゴスは驚愕の表情を浮かべた。 「(短剣一本で受けやがっただとぉ!?)」 またもや豪腕(プライド)に亀裂が入る。 しかも、今回は短剣───の中でも盗賊などが使うナイフだ。 「タダモンじゃねぇな・・・?」 「ふふ、タダで買える商品は無いでしょ~?」 メイは冗談を交えて、素性を隠す。 「・・・あの荷馬車は囮だな?」 ラゴスも早い段階で荷馬車の中に"仕込み"がある可能性は考えていたが、確証は無かった。 だが、スライが囮程度に殺られるはずは無いという自信もあった。 「こっちが囮かもしれないわよ~?」 「何だと?」 それを聞いて僅かに冷や汗が滴る。 行商人の強さで囮ならば、荷馬車の仕込みはそれ以上の刺客がいる事になる。 「傭兵の動きなんて全部読み筋・・・トランプゲームより簡単よね」 女の傭兵は強さよりも知能で勝負する。 当然、強さもそこいらの傭兵に比べれば段違いに強い。
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