9章 傭兵大国

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「・・・何処のギルドだ?」 「あら、何でギルドだと思うの?私は女よ?男達に守って貰わないと生きていけない"弱い女"」 女は子作りと家事に精を出す生き物。 それ以外は望まないし、やらせない。 グラウデンの男女関係は、いわゆる亭主 関白なわけだ。 「匂いってのがあるだろうが、場馴れした傭兵特有の匂いがよ」 「ふふ」 メイは思わず笑みを溢した。 実力があれば、女であれそういう匂いを出してしまうのだ。 本人がやり手の行商人を名乗っていても、同業者の鼻は誤魔化せない。 「他の連中は何だ?どっかのギルドと結託したのか?俺らにそんな大層な懸賞金がかかってるとも思えねぇがな」 「そうね~・・・あなた達の首なんて二人合わせて1万がいい所かしら」 戦った感じで、ラゴスの懸賞金をざっと頭で計算したメイ。 闇ギルドの賞金首は山の様にいて、多少腕の立つ賞金首でも懸賞金はせいぜい5千がいい所だ。 「・・・舐めやがって!!」 ラゴスは歯を食い縛ってメイの受けをおしのけた。 「舐めてるのはどっち?」 ラインの様にはいかない。メイはナイフの利便性───スピードを駆使してラゴスを攻める。 (───ッッ───ッッ) 「(はえぇ!!この剣じゃ防ぎきれねぇ!)」 鋼の大剣では、さすがにナイフを持つメイのスピードに追い付けない。避けるのが精一杯だ。 「(だが、短剣程度・・・わざと受けてカウンターを見舞えば終わりだ!)」 女の腕力なんざ、取るに足らない───ラゴスの心理に、まだ女に対する偏見はあった。 「(おら、ここ狙って来いや!)」 わざと急所には届かない脇腹に、わざと隙を作る。
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