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◇◇◇
「どうやら終わったみたいだねぇ」
ひたすら罠の地点で警戒していたフィデリオとイドメネオも、敵の後退を知って安堵する。
「上手く行きましたね・・・」
「ま、誰かしら怪我をしてるだろうがねぇ・・・誰も死んでない事を祈るばかりだよ」
「フィデリオさんも祈ったりするんですね」
イドメネオは意外そうな目を向けた。
「いやいや、俺は無神論者だ。祈る相手は自分自身にだよ」
フィデリオは仮初めの神も信じてはいないし、魔女アラディアにも信仰は無い。
祈るならば、自分自身で妄想した美女様にくらいだ。
「思ったんですけど、」
「ん?」
「フィデリオさんの隣が、一番安心な気がします」
「おいおい・・・俺にそういう趣味は無いよ少年!っと危ない!」
フィデリオは思わず後退して、罠に足を取られそうになった。
「大丈夫ですか!?って違いますって!!どうしてそういう風に捉えるんですか!」
心配と突っ込みを同時にするイドメネオ。変にしっかりしている性格を、フィデリオは気に入っていた。
当然、それは恋愛感情などではないが。
フィデリオの適当な性格はチェリルと良く似ている。
くっつけば上手く行くか、破局するか、極端な二択だろう。
「いや、言い方がねぇ・・・生々しかったんでついね」
「本当は気付いて茶化してるんですよね・・・」
イドメネオもフィデリオの適当さに漸く気付いてきた。
フィデリオは真面目が苦手なのだ。
だが、何故か真面目な人間に好かれる兆候にある。
「おっと、バレたかい?」
「いい加減わかって来ましたよ・・・」
「はは、そりゃいい事だ。さて、早く合流してしまおう」
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