9章 傭兵大国

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◇◇◇ 「どうやら終わったみたいだねぇ」 ひたすら罠の地点で警戒していたフィデリオとイドメネオも、敵の後退を知って安堵する。 「上手く行きましたね・・・」 「ま、誰かしら怪我をしてるだろうがねぇ・・・誰も死んでない事を祈るばかりだよ」 「フィデリオさんも祈ったりするんですね」 イドメネオは意外そうな目を向けた。 「いやいや、俺は無神論者だ。祈る相手は自分自身にだよ」 フィデリオは仮初めの神も信じてはいないし、魔女アラディアにも信仰は無い。 祈るならば、自分自身で妄想した美女様にくらいだ。 「思ったんですけど、」 「ん?」 「フィデリオさんの隣が、一番安心な気がします」 「おいおい・・・俺にそういう趣味は無いよ少年!っと危ない!」 フィデリオは思わず後退して、罠に足を取られそうになった。 「大丈夫ですか!?って違いますって!!どうしてそういう風に捉えるんですか!」 心配と突っ込みを同時にするイドメネオ。変にしっかりしている性格を、フィデリオは気に入っていた。 当然、それは恋愛感情などではないが。 フィデリオの適当な性格はチェリルと良く似ている。 くっつけば上手く行くか、破局するか、極端な二択だろう。 「いや、言い方がねぇ・・・生々しかったんでついね」 「本当は気付いて茶化してるんですよね・・・」 イドメネオもフィデリオの適当さに漸く気付いてきた。 フィデリオは真面目が苦手なのだ。 だが、何故か真面目な人間に好かれる兆候にある。 「おっと、バレたかい?」 「いい加減わかって来ましたよ・・・」 「はは、そりゃいい事だ。さて、早く合流してしまおう」
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