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◇◇◇
「あらら~・・・派手に怪我したわね」
ティートの状態を見て、メイは苦笑いを浮かべた。
ここにプリーストはいない。
即ち、ルサルカやリゴレットにこの姿を確実に見られる事になる。
「げ、げぇっ、どうしたんだいそのエライ怪我は」
「ティートさん!?大丈夫ですか!!」
追って合流したフィデリオ、イドメネオもその姿に驚きを隠せない。
同じように、魔女二人の怒りと悲しみの表情がそれぞれ浮かび、苦笑い。
「幸いにも骨が折れてるだけです」
タチヤナが介抱しながら、傷の状態を終始確認する。
「十二夜のリーダーは?」
メイはスライの姿を探す。
生け捕りではない───。
「───ここだ」
セストは袋に詰まった丸状のモノを差し出す。
「潰されて下は見るに耐えなかったので、仕方無く首だけを・・・」
圧死の姿は運ぶには重労働だ。
首を狩ったのはセストだが、タチヤナもその意向には賛成していた。
残酷な様に見えて、配慮もある。
「任務完了ね。さっさと戻りましょう♪」
異常なやり取りにも見えるが、受けた依頼の絶対完遂が傭兵としての仕事である。
「(───この斬り口・・・あの行商人がやったのか。"愛の妙薬"───あの女以外にも女主体のギルドがある)」
セストはラゴスの脇腹の裂かれ具合を見て、レナートの剣撃と見比べた。
"脊髄を裂く剣"───。
それがレナートの唯一無二の武器だ。
「(───俺の剣撃では、こうはならない、か)」
セストの実力は、まだメイには及ばない。偽っているとはいえ、行商人の実力に劣るのだ。劣等感はあった。
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