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タケルの言葉も聞けないまま名前を呼ばれ診察室に入る。
40歳後半くらいだろうか
肩まである髪の毛はパーマでクリクリになっていて
いかにもオバサンだが、顔は年齢よりも若く優しそうな女医が診察用の椅子に誘導してくれた。
『妊娠してますね』
その言葉に、紗奈の頭は真っ白になった。
高校生から多嚢胞性卵巣症と言われて医者通いをしていた。
毎月3本の筋肉注射を打ち
医者には排卵してないが治療を続ければ将来的に妊娠は出来るからと言われていた。
自分は妊娠は出来ないのだろうかとさえ思っていた自分が
今妊娠していると告げられている。
子供が大好きな紗奈にとって
とても喜ばしい事…
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