第九章 勇ましき者の足どり

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「なら!何故人間界に攻めてきたんだ!」 うむ、俺と意見が一致したようだ。 「我が知るはずないだろう!我はただ従うだけだ!」 「だから!何故そこで疑問を持たない!幼い子供を拾う位の良心のある奴だったんだろ!?主人や、親、そういう存在の変化にも気を配れるのが従者の在り方じゃないのか!?お前はどうしたいんだよ?」 「確かに、我はあの方が急に変わられて、疑問にも思った!だが、そんなことを考えるよりも戦争の準備が始まり、どうしようもなかった!だからこそ、あの方が変わられた理由が知りたい!」 「だったらまずは、名前を言ってオレの手をとれ!オレが…………オレ達が何とかしてみせるから!お前も手伝え!」 かっこいいなぁ……………俺には到底出来そうにないわ。 まぁ、そんなカッコいい説得を受けたアイツは、 「我が名は、ユーク!」 ユークっていうらしい…………は真也の手をとる。 瞬間、外でガシャンというガラスが割れるときの音をもっと大きくしたような音が聞こえた。 「我の守っているこの塔も、我が戦意喪失した時点で役目を終えたのだ。後は、崩れるのをただ待つのみ。先に行くがいい!我なら多少この塔の崩壊を遅らせられる!」 うん、お決まりのパターンだよな。これでこいつ死ぬつもりなんだろ?もう少しお側に居たかった…………とかなんとか言っちゃって………… 俺が脇役に回ってるんだ!そんなことさせるわけねぇだろ! もう、とっくに真也と、その仲間達はユークにお礼を言って塔からの脱出を図っている。 「魔王様…………もう少しだけお側に居たかった………」 予想通りにいくとここまで気持ち悪いのか!? 俺は、泣いているユークの肩に手を置き、札を仕込んだ後、転移した。 【シュン!】 ~最果ての塔/裏側~ 俺と、元魔王の側近のユークは真也達とは反対側の、塔の裏側に転移した。 突然のことに、当然ユークは目を丸くしている。 「は、はぁ!?何故我は外にいるのだ?彼処で死を覚悟したはずなのに………」 塔の主が居なくなったため、本当に役目を終えたのか、崩壊するスピードが格段に早くなった。 『アンタもたまにはいいことするのね』 ずっと黙っていたユティから念話が来た。 『ん、まぁな』
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