第九章 勇ましき者の足どり

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ところで、このパニクってるユークをどうしようか? 『一度連れて帰らない?身寄りもないみたいだし、ちょっと気になることもあるしね』 ふむ…………他に案も思い浮かばないし、連れて帰るか。 でも、俺の泊まってる宿屋に急に連れてくのは怪しいから、自己紹介しておこう。 俺は、ユークの前に姿を現した。 「やぁ、はじめまして。俺はレイ・ラムズスっていうんだ」 「あ、ああ、我はユークという」 動揺しながらも答えてくれた。 「知ってる。だって、ずっと勇者とのやりとり見てたもん。あ、ちなみに、勇者のところを回復して強くして、ここにアンタを連れてきたのも俺ね」 「それを言ってどうしようというのだ?」 流石魔王の側近だね、警戒心強いや。つか、もしかして警戒心強めちゃった? 「なぁに、ちょっと俺についてきてほしいだけだよ」 「 ふむ、勇者が急に強くなったと思ったら貴様が関与していたか。面白い!少し話を聞かせてもらおう」 おお、助かる。 んじゃさっそく………彼の肩に手を置きもう一度転移した。 【シュン!】 ~東の町 スートイ/宿屋~ 【シュン!】 「はぁ!?転移陣もなしに転移だと!?バカげている!あり得ない!」 またユークがテンパってるよ…………… 「あ~………ほら、どっかのお偉いさんも言ってるだろ?あり得ないなんてことこそあり得ないってな」 諦めたのか、ユークはそれ以上考えてはいなかった。そういうものだと思うようにしたらしい。 【カランカラン】 「おお、お帰り、今回は早かったんだね」 宿屋の女将さんが出迎えてくれた。 「嬢ちゃん達なら今は食堂で働いてくれてるよ。なんでも、アンタの役に少しでも立ちたいってさ。あんなにいい娘達は居ないよ!」 う~ん………俺達だけ部屋に先に帰ってるなんてズルいよな………… ~東の町 スートイ/宿屋/食堂~ と、いうことで、今は皆でお店のお手伝いをしている。 『ユティもそろそろ出ておいで』 『ん、すぐいく』
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