第九章 勇ましき者の足どり

8/8
前へ
/128ページ
次へ
「クソッ!こんな小娘に虚仮にされるなんて!ああ!イライラする!」 ん~荒れてるねぇ………… 【ガスッ】 酔っていたおっさんはテーブルを蹴飛ばして立ち去ろうとする。 「ああ!?何みてんだゴルァ!どけや!」 【ドカッ】 入り口近くにいた俺は肩でぶつかられた。 「ごふぁ!」 とっさのことで上手く受け身がとれず、しりもちをついてしまう。 「お主は今、何をした?我が主を突き飛ばしたな?その罪只ですまされると思うな!」 俺の事で怒ってくれるのは嬉しいんだけど!キレるのはいかん! 「オイオイ、俺は大丈夫だから!」 「ふん!主は黙っておれ!」 「はん!あんなひ弱そうなのが主だと?笑わせてくれる!」 「お主は今、二度我を怒らせた! 我が司りし夢幻の力で魅する。夢うつつの狭間で溺れ狂え!」 そう、忘れていたが、リリィは夢と幻を司る精霊。 「う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!何だよ!なんなんだよ!お前はぁぁぁぁぁぁぁ!」 あ、おっさんが悪夢みて発狂してる。かと思ったら、うっとりしだしてまた発狂…………軽く拷問だよこれ! 「オ、オオオオイ!もういい!もういいから!おっさんが死んじまう!」 「ええい!離せ!妾の気が収まらんわ!」 なんか悪役みたいな言葉吐いてますけど!? 「もう大丈夫だって!ほら、おっさんやばそうだし!」 俺は夢中でリリィを抱き留めて言葉を聞かせる。 【シュゥゥゥゥゥゥゥゥ】 おっさんから黒い気が抜けて彼は目を覚ました。 「うぁ!?何だったんだ今のは!?もう懲り懲りだ!帰る!」 おっさんが帰っていった。 「ったく、リリィはもう少し力の使い道を考えなくちゃな」 ポンと軽くリリィの頭を叩いてやる。 「主が悪いのじゃぞ!いたわれたまま言い返さぬから!」 はぁ…………俺のためを思ってくれるんなら、もう少し穏便に済ましてもらいたかったんだけどなぁ………… 「ありがとな。俺のために怒ってくれて」 さて、これで一件落着でいいのか?締めていいんだよな………? 「まぁ、そんなこんなで色々あったけど、ただいま!」 「「「「「お帰りなさい!」」」」」 うんうん、この感じだよ!こう、帰ってきたーって感じ!
/128ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1199人が本棚に入れています
本棚に追加