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「クソッ!こんな小娘に虚仮にされるなんて!ああ!イライラする!」
ん~荒れてるねぇ…………
【ガスッ】
酔っていたおっさんはテーブルを蹴飛ばして立ち去ろうとする。
「ああ!?何みてんだゴルァ!どけや!」
【ドカッ】
入り口近くにいた俺は肩でぶつかられた。
「ごふぁ!」
とっさのことで上手く受け身がとれず、しりもちをついてしまう。
「お主は今、何をした?我が主を突き飛ばしたな?その罪只ですまされると思うな!」
俺の事で怒ってくれるのは嬉しいんだけど!キレるのはいかん!
「オイオイ、俺は大丈夫だから!」
「ふん!主は黙っておれ!」
「はん!あんなひ弱そうなのが主だと?笑わせてくれる!」
「お主は今、二度我を怒らせた!
我が司りし夢幻の力で魅する。夢うつつの狭間で溺れ狂え!」
そう、忘れていたが、リリィは夢と幻を司る精霊。
「う、うわぁぁぁぁぁぁぁ!何だよ!なんなんだよ!お前はぁぁぁぁぁぁぁ!」
あ、おっさんが悪夢みて発狂してる。かと思ったら、うっとりしだしてまた発狂…………軽く拷問だよこれ!
「オ、オオオオイ!もういい!もういいから!おっさんが死んじまう!」
「ええい!離せ!妾の気が収まらんわ!」
なんか悪役みたいな言葉吐いてますけど!?
「もう大丈夫だって!ほら、おっさんやばそうだし!」
俺は夢中でリリィを抱き留めて言葉を聞かせる。
【シュゥゥゥゥゥゥゥゥ】
おっさんから黒い気が抜けて彼は目を覚ました。
「うぁ!?何だったんだ今のは!?もう懲り懲りだ!帰る!」
おっさんが帰っていった。
「ったく、リリィはもう少し力の使い道を考えなくちゃな」
ポンと軽くリリィの頭を叩いてやる。
「主が悪いのじゃぞ!いたわれたまま言い返さぬから!」
はぁ…………俺のためを思ってくれるんなら、もう少し穏便に済ましてもらいたかったんだけどなぁ…………
「ありがとな。俺のために怒ってくれて」
さて、これで一件落着でいいのか?締めていいんだよな………?
「まぁ、そんなこんなで色々あったけど、ただいま!」
「「「「「お帰りなさい!」」」」」
うんうん、この感じだよ!こう、帰ってきたーって感じ!
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