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剣同士の戦いでは埒があかないと思ったのか、二人は距離をとり、魔法の詠唱に入った。
ロクアの方はブツブツと何処の世界の、何処の国のものかも分からない言葉を紡いでいた。
一方、レイの方はロクアよりも早く詠唱が終わったのか、魔法を発動していた。
発動したのは常に愛用していた雷属性の<パラライズ・スパーク>である。
稲妻が四方八方からロクアに襲いかかる。
が、ロクアには一切効いている様子は窺えなかった。
「おぉ、痺れた痺れた。じゃあ、今度はこっちの番かな!<foot・explosion>」
それは、今までレイが放ってきた“魔法”とはかけ離れたモノだった。
足下からあり得ないほどの威力の爆発が起き、煙が半径30メートル程覆った。
煙が晴れると、ボロボロになったレイが息絶え絶えに倒れていた。
「チッ生きてたか………しぶといなぁ!ま、今のお前殺しても愉しくねぇ!“魔力”なんてちっぽけなもん使ってっからそうなるんだよ!せめて“神力”くらい使えるようになって見せろ!」
そう言って何処かへ消え去るロクアだった。
~side レイ~
クソ!何で俺は負けた?神力?なんの話だ?奴の使っていたアレは何なんだ?
「いつまでグジグジしておる!この、バカ主が!」
【ドスッ!】
「グフッ!ヒューヒュー……………」
満身創痍の上にどつかれた俺は当然呼吸も辛くなり…………
「おぉ、すまぬ!すぐに回復させて見せるから、死ぬでない!全ての光よ…………ここに究極の癒しを!<アルティメット・ヒール>!」
状況は把握できないが、俺の横たわっている地面に魔方陣が展開し、優しい光が俺の体を包んでいく。
傷ついていた肉も、皮も、血管も、肉体の全てが完全に機能を取り戻し、完全に回復した。
「ありがとうリリィ!それにしても、よくこんな魔法を知ってたな」
「なぁに、これを使う日が来なければいいなと思いながら覚えた魔法が役に立っただけじゃ。勿論、主の魔力をかなり使わせてもらったがな。それよりも、主の友はよいのか?」
ふと、空を見ると、魔王と勇者が戦いを繰り広げていた。
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