最終章 全てがハッピーエンド!……………あれ?

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随分とひねくれた能力を持っているな…………………… 例えば、不治の病でも、俺が治るといったら治るってことか? そういうことなら、試しに使ってみようか。 「俺の背中には翼がある!」 【シーン………】 馬車の中でそんなことをいきなり言い始めた俺には、皆の視線が突き刺さる。 少しすると、青い繊維のようなものが俺の背中から噴き出して、網目のように絡まりながら、形を成していき、最終的には汚れ一つ無い純白の翼が馬車の中にギリギリ収まる大きさで創られた。 「まぁ、こんなもんか?」 皆は言葉を発せず、唖然としている。 「イヤイヤイヤ、なんじゃそれは!?見たこともないぞ!?」 ハッと我に返ったのはリリィだった。 「いや、何って言われても……………ねぇ?…………てか、精霊なのにリリィだって、魔法使えるじゃん」 「普通は使えんのか?」 「うん。俺の聞いた話で、証拠はないけど、ウンディーネと、シルフに聞いたから、そこそこ信憑性は高いんじゃない?」 「そうか……………」 なんだか、納得したようにコクコクとうなずいている。 まぁ、シルフはよく嘘はつくけど、ウンディーネは全くついたことがないって有名だからな。 と、思いながら、少し小さくした羽根をパタパタやってみる。 「キレイな翼………」 ユティが少し暗い顔をしている。 「どうしたんだ?」 ユティに近づきながら、話しかける。 「ううん、少し昔のことを思い出しちゃっただけ」 「ユティの翼の色、変えてやろうか?」 「ううん、このままでいいや!昔から一緒に育ってきた翼だもん!」 「そうか…………」 「オオーイ!そろそろディレク城に着くぞ!」 ちょっと気まずい感じになりかけたところで、馬車の運転手から声がかかる。 俺は窓から顔を出して見てみると、確かに大きな城が見えていた。 「ここから全部始まったんだよな………………」 てか、翼って、どうやって消すの? ~ディレク城下町~ 城下町に入ると、既にパレードの準備が整っていた。 翼は、とりあえず見えないようにした。 俺たちの馬車が入ってくると同時に歓声の嵐が沸き起こった。 「な、なんだ!?」 真也が慌ててジタバタしだした。 「一度城まで入っていって、そこからパレードを回ろうか」 俺は祭りが結構好きだしな。 真也も同意してくれたのか、コクコクと頷きながら、 「うん、そうしようか」 賛成してくれた。
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