最終章 全てがハッピーエンド!……………あれ?

20/24
前へ
/128ページ
次へ
~ディレク城下町/宿屋/自室(朝)~ 朝起きてみると、大変なことに気がついた。昨日の夜から記憶がない。え~と…………スティアに使い魔契約をしてくれって“お願い”されて…………って!ああぁぁぁぁぁ!? まさか…………やっちまったのか俺!? 【バァン!】 俺は扉を開けて急いでスティアを探しに行った。 ~宿屋/廊下~ 「お~い!スティア~!どこだ~!?」 「はい?呼びましたか?」 俺の体から小さな光の粒が出てきて、人の形をつくる。 「スティア!なんてところから出てくるんだ!てか、俺の体から出てきたってことはやっぱり!?」 「ええ、契約してもらいましたよ?」 ガーンという擬音が頭の中で流れたような気がした。 「いいのか?俺がスティアの自由を奪っちまって?だって、使い魔って奴隷みたいなもんだぜ?」 「なに言ったって無駄ですよ。だって、ご主人様には既に三人も使い魔が要るじゃないですか」 ニコニコと笑いながらそう言うスティアは少し怖くて、何を言っても本当に無駄な気がした。 パン、とスティアが手を叩き、 「はい、この話は終了です」 と、話を切られてしまった。 「そんなことより、今日はユリィさんから、大切なお話があるんでしたよね?まぁ、大方予測はできますけど 」 そう。ユリィに俺と真也が最初に召喚された部屋に呼び出されていた。 ~ディレク城/召喚の間~ ゆっくりと扉を開けると、中には既に真也、ユリィの姿があった。 「すまん、待ったか?」 「いや、オレは今来たところだ」 「ええ、私も今来たところです」 そんな定番のやり取りをしてから、本題に移った。 「それで、皆さんのことなんですけど……………………」 ユリィがそう言うと、 「ああ、もとの世界に帰してくれるんだろ?」 真也が横から口を挟んだ。 「いえ、それが……実は………」 え……?嘘だろ?そういうパターンなのか?本気で?実は……帰れますっ!っていうドッキリじゃなくて? 「帰れません」 その言葉がひどく重く聞こえた。 この状況を想像しなかったわけではなかったのだが、最悪の事態として想定していただけで起こるとは思わなかった。 「はあっ!?帰れない!?召喚はできるのにか!?」 なので、少し叫び気味にユリィに当たってしまった。
/128ページ

最初のコメントを投稿しよう!

1199人が本棚に入れています
本棚に追加