第五章 脇役を決意した日

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そうは言ってもなぁ………目立ちたくないし。 「そうです!かっこよく撃退するんじゃなかったのですか!?」 むぅ……リリィを口火に言いたい放題になってしまう。 まぁ、放置するとして………しばらくギルドに匿ってもらうか。 依頼見とくか! そうして、依頼を見ていると、横からさっきの受付のお姉さんが、話しかけてきた。 「依頼を受けるには、ギルドカードが必要よ?」 ギルドカードってエスウトのやつ使えるのかな? そう思って、俺は、彼女にギルドカードを見せる。 「あの、これ使えますか?」 俺はギルドカードを差し出す。 「な………なにこれ!通算クエスト回数が365回?しかも発行期日が1か月前じゃない!」 ん?多かったのか?転移でピュンピュン飛んでれば、一日10回はクエスト達成できるし………………………… 「どうしたんスか?」 そういうと、お姉さんは、少し動揺したように、 「い……いえ、回数がすごかったので…………」 と、丁寧にギルドカードを返してくれた。 「いえいえ、雑用のクエストばかりですよ」 お姉さんは、まだ疑問があるのか、ギルドランクを聞いてきた。 「それなら、相当ランクも高いんじゃない?」 「カードに書いてある通りDランクですよ。」 と、俺は素直に答えた。ただし、偽装の物であるが。実際はSSランクだったり……… 実は、認識阻害の魔法をかけて、別の顔で、深くローブを被って危険な依頼を受けているので、あまり俺の正体を知っている者はいない。 知っているのは、俺の仲間と、エスウトのファイさんくらいだろう。 あ、ギルドマスターも知ってるか。 二つ名までもらっちゃって……… “雷鳴の追跡者”だってさ……………… まぁ、基本的に俺の受けるクエストは、魔法使って暴れてる奴の鎮圧で、雷属性で麻痺させてギルドへ連絡するだけのお仕事なのに、いつの間にかそんな風に呼ばれるようになってしまった。 見ていた奴がいたのかもしれない。
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