第五章 脇役を決意した日

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長くなったが、要するに俺は実はギルドで活躍中の“雷鳴の追跡者”であるということだ。 「あなたも、こんなに依頼を受けているなら、“雷鳴の追跡者”様を見習って、もう少し難易度の高い依頼をやってみたらどう?」 え!?いきなり俺の話ですか!? 一瞬ギクリとしたが、どうやらばれてはいないようだ。 「は……はは………………ファンなんスか?」 しかし、こんな別の町にまで俺の噂が広まるとは…………目立ちたくないのに……… 石を投げられるのもあと少しか? けど、魔法を使って悪事を働く馬鹿を放っておくわけにもいかないし……… 「以上が、雷鳴様の素晴らしいところよ、分かった?」 「ハイ!」 うおっ!?つい返事をしてしまったが、ずっと俺の話をしていたみたいだ。 目の前にいるって知ったら、卒倒するのかも……………… それにしても…………………………ギルド内の酒場の親父どもからスゴイ見られてる!? 「分かりましたけど、この刺すような視線はどうすれば……………………てか、なんで?」 と、お姉さんに聞くと、困った顔をしながら、言った。 「ん~……………さぁ?」 それじゃ、困るんですよ!と、言えるはずもなく、 「はあ………………」 と、そっけなく返すしかなかった。 さて、もう、あのナンパしてきた奴らはどっか行っただろうし、そろそろ出ていくとするか! 親父どの 視線もキツいし 「おーい、もういくぞー」 ずっと座っていた皆に声をかけて、出て行く。 「あ、匿ってくれてありがとうございました」 お礼も忘れずに。 「別にいいわよ~暇だったしね。今度は依頼を受けてね」 お姉さんはにっこりと笑いながら返してくれた。
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