第五章 脇役を決意した日

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~東の町 スートイ/宿屋~ やっと帰れた! 荷物持ちは苦ではないが、周りからの好奇の目線がきつかった。 まぁ、彼女達が買ってきたものを広げて幸せそうな顔をしているので、俺は満足だ。 「あ、お礼言ってませんでしたね」 「そうじゃな」 「やっぱ言わないとマズいわよね」 「…………うん………………」 「じゃあ、皆で合わせようか」 「「「「「今日一日ありがとう!」」」」」 うん、悪い気はしないな、と思っていると、次々と頬に柔らかい感触。目の前にはうっとりした皆の姿。 あれ~?状況がよくわからないけど、ご褒美ってことでいいのかな? 状況が理解できたことで、ちょっと気恥ずかしくなり、部屋に急いで戻ろうとする。 「じ………じゃあ、皆、お風呂入ってよく寝るんだぞ!明日は普通に依頼あるからな」 【ガシッ】 「うぇ?」 やべっ……変な声出た。なぜ腕掴まれてるんでしょう? 「乙女のキスを頬に貰って何もなしとは少し甲斐性が足りないのではないか?主よ」 ですよねぇ………… とりあえず、皆の頭を撫でてみる。 「うにゅー」 「はうー」 「なっ………なにす………ふぬー」 「……………うー」 「ふにゃー」 上からスティア、リリィ、ユティ、ユウ、凛である。 もう本格的に恥ずかしいので、さっさと部屋に帰ることにする。 ~宿屋/レイの部屋~ ああ、やってしまった……… まぁ、気を取り直して、今日の一件で俺のやることが決まった。 今まで使わなかったが、真也に組み込んだ札にはもうひとつ効果があって、その人の行動が記録として送られてくる、というものだ。 どれどれ………… 【佐藤信也の行動 新しく手にいれた力で調子にのって次々と魔王が差し向ける刺客を倒し、快勝していたところを魔王の右腕を名乗るものが現れ、彼らをフルボッコにする。 ちなみに、ミケが宿屋で瀕死なう】 ツ◯ッター!? てか、え……………?これまずくね?俺のせいだよな?勝手に信也に勇者っていう役職押し付けて、自分だけのうのうと暮らしてる。 と…………とりあえず、ミケがいる宿屋に行く! あ、そうそう、一応【雷鳴の追跡者】のローブを着ていこう。このローブは色んな恩恵が受けられるからな。
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