第五章 脇役を決意した日

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~正義の町 ジャスティ/宿屋~ 【バタン】 【シュン】 扉の閉める音が聞こえたので、丁度出ていったところみたいだ。 ベッドを見てみると、確かに衰弱しきったミケがいた。 素人目にもわかる、致命傷だ。 右の肩から斜めに腰の辺りまでザックリ斬られている。このままでは本当に死んでしまう。 「我が力を癒しと成せ!〈ハイキュア〉」 うわ、全然効果がない。 と、いうか呪いがかけられてる。 これでは、どんな魔法も、薬も、意味をなさないだろう。 呪いは酷く侵食していて、この世界の人間に治せるような代物ではなかった。 本当は闇が使えたら、簡単に吸ってぶちまけられるのだが、生憎そんな魔方陣は持ち合わせていない。 このまま放置しとく訳にもいかないので、早速呪いを解く。 この魔法は、光属性で、闇属の呪いを打ち消せるのだが、とんでもなく苦痛が伴う。 「ごめんな、ボソッ………………我が力は闇を討つ力なり、打ち消せ!〈アンチ・マリス〉」 うへぇ………俺も疲労感が洒落にならない。 【ガチャ】 ん? 【キィ】 「!?誰だお前は!!」 入ってきた誰かに喉元へ剣を突きつけられる。 くそ!後は回復魔法を掛けるだけで良かったのに、変なタイミングでってきやがる! 仕方ない、俺は手を上に向けて、転移を唱えた。 【シュン】 ~正義の町 ジャスティ/宿屋前~ うわぁ、危なかった。 いきなり剣を突きつけてくるんだもんなぁ。 てか、さっきの奴、真也じゃね? うん、後で確認しよう。まぁ、部屋に戻ったんなら何かしら手に入れてきたんだろう。 後でミケの様子見て帰るか。 ~20分後~ よし、そろそろミケの様子見にいくか。 【ガチャ】 【キィ】 誰もいな………真也がミケの手を握って寝ていた。 何で看病してる奴が寝てるんだよ。 ったく……………でもまぁ、これで治ったんだよな。 今はミケの様態は安定していて、傷がすっかりなくなっていた。
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