第五章 脇役を決意した日

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「はわ!?はわわわわわわ!?」 珍しくユティが動揺していて、なんだか可笑しかった。 「プッ!アッハハハ!何だよはわわわわ!?って」 ああ、笑った笑った。 「うるさいわね!少し動揺しただけよ!」 【ガシッ】 あれ?痛みが来ないし、何か柔らかい感触。 「今度はアタシが動揺させてやるんだから!」 「え!?ちょ、ええええええ!?」 「プッ!フフフフフ大成功!」 「抜け駆けは許さないのじゃ!」 「そうですよ!ずるいです!」 「……………メッ………」 「お兄ちゃんはあたしのもの!」 え?なになに?何これ!? ご褒美?いやいや俺誉められることしてないよ!? 「とりあえず、みんな離れなさい」 【グイッ】 「よし、みんな離れたね、じゃあ、これからのことを話し合おうか」 て、言ってもねぇ……… 「ハーイ!じゃあ、詰んでるお兄ちゃんの代わりにあたしが案を出しまーす!」 おお、心強いな。皆も真剣に聞き入る。 「まずやるべきことは、真也さん達の戦力増強!くらいかなぁ?」 まだ足りないような気もするけど……… 「四天王レベルの相手との戦闘もサポートしてやりたいのぅ」 フムフム……………他には? 「ご主人様の二の舞にさせないようにする…………とかですか?」 おお、やっぱそうだよな………俺の二の舞はいかんよな。 「………………でも………どうする………の?」 そうなんだよねぇ…………勇者ってだけで目立っちゃうわけだし、うーむ…… 「アンタが勇者と魔王が戦ってるところを全世界に放映すれば良いんじゃない?当然、勇者は一人で戦うわけじゃないし、四人でフルボッコにしてる姿を世界中の皆に見せれば、石は投げられないんじゃない?」 「それだぁぁぁぁぁぁぁぁ!」 「キャッ!何よ、突然騒ぎだして!」 <投影>使えば余裕じゃねぇか! 「へへっ!ワリィワリィ、けど、やっと解決の糸口が見つかったんだ、喜ばないわけないだろ。ありがとな」 「別に良いわよ、このくらい大したことないし」 よし!そうと決まればこうしてはいられない。 「とにかく俺は部屋に行って<投影>の練習してくる! じゃな!」 「行っちゃったねぇ」 「…………………………魔王倒すのってまだまだ先じゃないの?」 「「「「あ」」」」 ~宿屋/零の部屋~ 一人になって思うことがひとつ、俺は、主人公には成れない、だから、主人公を支えてやれる脇役に成ってやる!
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