第六章 脇役にできるコト

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~2ヶ月後(結界内)~ Sideレイ 俺は今、ボコボコにされたふりをしている。 それは、こいつ(真也)に自信を付けさせるためだ。 「ゴフッ!ここまでやれれば上出来じゃ!もう免許皆伝じゃな」 そう言いながら、頭のなかで、皆に念話をする。 『お~い!皆、そろそろ帰るから、準備してくれ!』 『ん、分かったよ!』 凛から一番早くに返ってくる。 『え?もう帰っちゃうの?』 誰だ?名残惜しそうなのは?…………………………え!?ユウ!? 何があったのか気になるが、次の応答を待つと、 『了解しました』 スティアから返ってくる。 『うむ、妾もそろそろ潮時だと思ってたのじゃ』 リリィから連続して応答される。 『どうしてればいいの?』 お、最後はユティか 『皆はそのままでいてくれ!強制転移で宿屋に帰るからね。あ、ちゃんとお別れも言うんだぞ』 「では少年よ、さらばじゃ」 俺の体はゆっくりと転移していく。 はたから見れば、体が透けていくように見えるだろう。 「え!?なんだよさらばって!まだまだじいさんに教えて貰ってないことが一杯あるのに!」 親友の泣きそうな顔を見るのはなんだか申し訳ないな。 「わしが教えてやれることなどもうありゃせんよ、言ったじゃろ、免許皆伝だとな。さらばじゃ」 【スゥー】 そうして俺の体は完全にその場から消えた。 と、同時に、張ってあった結界も消えた。 ~東の町 スートイ/宿屋~ 「ん~帰ってきた!」 お爺さんの変装セットは邪魔なので、即行脱ぎ捨てる。 やはり、帰ってきたという感覚になってしまうほど、この宿屋にはお世話になっているなとつくづく思う。 「おや?三日もどこいってたんだい?」 ああ、そうか結界のせいで、向こうで二ヶ月でも、こっちじゃ三日間位しかたってないのか。 「ああ、ちょっと色々あってな、いまは会話できそうにないわ。ごめんね女将さん」 そう帰ってきたときに真っ先に話しかけてくれたのは、この宿の女将さんである。 「あぁ、いいさ、早く部屋にかえって寝て、また元気にうちの飯を食っていっておくれ」 すげぇ!なんていい人なんだ女将さん。 お言葉に甘えて俺達は、各自自分の部屋で眠る。なんだかいつもよりも瞼が重かった。
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