第八章 魔なる物の強襲

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~東の町 スートイ/外側~ 俺はフェンさんと一緒にこの町の守護を任された。特に北と南が数が多いらしく、東はあまり人数を割けないらしい。 「君の力、見せてもらうからね!」 フェンさんは俺にどこか期待をしているようだ。 少しすると、奥の方からウジャウジャと黒い影が見えた。一応探査魔法を使ってみると、数は500万体位。 あれれ?数がこっちは少ないから二人がかりなんじゃなかったの!?全体の半分位いるよこれ!? 「さて、お仕事開始だよ!」 【ザシュッ】 フェンさんは空から来る魔物を水の刃で撃ち落としていく。 俺はというと、地面に手をついて放電しまくった。 「我の雷は止めるものなり、故に全てのものは足を止める。食らえ!<パラライズ・スパーク>」 詠唱なんか要らないんだけど、やはりすると威力が出る。 【バチィ!】 黒い集団が一斉に止まった。後はフェンさんが殺ってくれるだろう。 「ナイス足止め! 水よ、集い集いて氷刃と成せ!<斬首・氷>」 くるくると氷の刃が回りながら黒い影に飛来していき、魔物の首を刈っていく。その光景はまさに地獄絵図である。 俺はとっさに目をそらしてしまった。 ふと考える。直接的ではないにしろ、この魔物を殺りやすいようにしたのは誰だ?紛れもなく俺である。ならば、この光景を最後まで見届けるのが俺の責任の取り方ではないか?と。 そう思い、顔を上げると、フェンさんが空を飛ぶ魔物に捕まっていた。 「キャァァァァァァァァ!助けて!」 くそ!目を離すからこうなるんだ!畜生!けど、今はそんなことを考えている暇はない。 「<斬首・鋼>」 【ズバァ!】 もちろん、この場所に地帝は居ない。つまり、今の魔法を放ったのは俺である。 見よう見まねのただのパクり技だけど、効果はあったらしい。 【ヒュウ………】 そして、空中で放り出されたフェンさんはどうなるかというと……………………………落ちる。 「イヤァァァァァァァァァァ!」 「危ない!」 【ヒュー………………ガシッ!】 どうやら成功したみたいだ。 「ありがとう!助かったよ!」 よくよく考えると、今はフェンさんをお姫様だっこな訳で……………… 「ッ!ああ、いえ、別に良いですよ」
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